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浮気相手に生まれた子供は同学年 #5

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超えてしまった一線

カゲオからの「俺が控えている」宣言をされてから3日後。

わたしは今一朗と元同棲していたアパートに来ている。
いったん顔を見て話したいと思い、彼が休みの日に朝から訪れたのです。

扉を開けるまで、これからどんな事が起こるんだろう…どんな結果になってしまうんだろう。
わたしは別れたいのかな?それとも色んなことを吞み込んでこれからも付き合って行くべきなのかな?
土壇場でまた迷いが出てきてしまう。
これが4年間の重みなのだろう。

合鍵で扉を開けると一朗がラフな部屋着姿でぼーっとテレビを見ていた。
見慣れたいつも通りの光景だった、変にホッとしてしまう。

「おかえりー」

一朗は距離を置く宣言をしたことも、今まで一切連絡を取り合ってなかったことも、全部なかったかのような雰囲気でそこに居た。
たぶん、「この前は距離置きたいとか変なこと言ってごめんね」って言えばまたこれから先も続くんだと思う。
彼はそういう人なんだ。
大らかと言えば大らかだけど、今後わたしが本気で訴えた気持ちに対して何も真剣に答える気がないんだろうな…。
と感じていた。

なんで連絡くれないの?
なんで何も話してくれないの?
なんでキミはいつも通りのなの?

聞きたいことはたくさんあるし言いたいこともたくさんあった。
でも、言えなくなってしまう。

あーもうどうすればいいのか分からない。
結局一朗は、この日友達と遊ぶ約束をしていたためすぐに出かけてしまった。

一朗の雰囲気に呑まれて何も言えなくなった自分が悪い。
卑怯だと思ったけど、私は一朗が出かけるため玄関に立ったときタイミングで…

「私は一朗が結婚を望んでないなら別れるしかないかなって思ってるよ。」

と一言放った。
一朗は私の発言に一瞬動揺したかのように見えたが、何も返事をすることなく
「いってくるね、また後でね。」と言っていつも通りキスをして出かけて行った。

静かに扉が閉まる。

いや…もーコレはダメだ、多分なにも進まない。
私も一朗の顔を見るとはっきり別れる!と伝えられない。
別れるか別れないかを相手の選択次第にゆだねる当たりが小賢しすぎる。
でもこーゆーやり方しかできない…自己嫌悪。

その後、カゲオから連絡がきた。
どうやら今日はカゲオも休みだったらしい…、引き続き冷静な判断ができない&楽な方に逃げたいわたしはカゲオに会うことにしたのです。

そして今カゲオの運転する四駆の車の助手席に座っている。
そう、2人で会っている真っ最中なのです。

とりあえず、朝10時に待ち合わせし軽くランチをいただき目的もなくカゲオの大好きなEXILEのCDを聞きながらドライブデートをしています。

デートって…いいのかな?わたしまだ一朗とはっきり別れたわけではないのですが。
いいのかな?

とこんな具合にダメ女街道まっしぐらに落ちて行ってます。

季節は初夏、夏本番というわけではないがそれなりに暑く冷房のきいた部屋で落ち着きたいねという話しになり、DVDを借りてカゲオの部屋に行くことにした。
従弟とルームシェアをして暮らしているというカゲオの部屋はそれなりに広く、キレイに片付けたれていた。

リビングには黒いソファが置いてあり雰囲気がおしゃれだ。
お久しぶりの一朗とは違う異性との2人きりの空間でやや緊張気味なわたし。

あれ?さっきまで下らないこと話して笑い合ってたトモダチなんだから…普通でいいんだよね?
なーんて自分に言い聞かせる。

いやでもさ。

カゲオさんからは「俺控えてる発言」をされたわけで、そして部屋にお邪魔しちゃうことがどういうことなのか…。
この時のわたしはあまり分かっていなかった。

若干の緊張感からDVDの内容が頭に入らず、そわそわするわたし。
眠くなってきたと言ってソファをソファベッドにしてゴロリと寝転ぶカゲオ。

いやー、会社じゃ見られない姿ですよね。
キュンとするんじゃない、自分。

「豆ちゃんも寝っ転がりなよ。」

とおいでおいでされ、警戒しつつも寝っ転がてしまった。

程よく冷房が効いた部屋にソファベッドに寝転ぶ男女。
いやー、一線を越えないわけがない。

もちろん心の葛藤はたくさんあったし一朗のことを忘れているわけではありません。

ま、早い話…欲に負けてしまったのです。(情けない…)

カゲオと一線を越えた以上、一朗と続けていくことはできない。
一刻も早く別れて自分の中で今さらだけどケジメをつけねば!…と変な使命感にかられた私は別れ話を持ち掛けてたのです。

一線超えた次の日、しかもメールで。
カゲオの存在には触れずに一朗と今後付き合っていくことはできない云々の内容を送った。

一朗からの返事もあっさりしたもんで、特に引き留められることもなく…もう一度話そうと言われることもなく…。
揉めることなく別れたのです。

もしかして…一朗君も別れたかったのかな。
引き留めるほどの愛情が、もうわたし達にはなかったんでしょうね。

▶▶▶浮気相手に生まれた子供は同学年 #6へつづく

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